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古靴に思う

近年、オーディオや真空管、レコードだけでなくSHOES/BOOTSにも古いものを愛好し求める人が増えているという。

 

それはノスタルジーなんかのせいではなく、古い靴の革質によるところが大きいという。

例えば70年代辺りに製造された普及価格帯の靴に使用されている革であっても、きめ・艶・張りが今の高価な靴に使われる革に劣らなかったりする。これが60年代、50年代と遡っていくとさらに革質の平均値はどんどん高くなってくる。

それが80年代の世界的なスニーカーブームで皮革の需要が減り、ぐっと品質が落ちてしまうことになる。(11/29追記:70年代初頭のオイルショックとベトナム戦争泥沼化の影響も有ることを失念しておりました。。。)現在では革靴に限らず革製品の需要は高まってはいるそうだけども、皮革会社-工場/タンナーは最盛期の1/3位に減ってしまい、鞣し行程の化学薬品の規制の高まりもあり、品質の高い革はどんどん高価になってしまっている。(まあ真空管やレコードの様に全球凍結時の地球みたいな瀕死状態にはならなかったのは幸いだね)

ということで、自然と古靴に注目する人が増えたのだが、最大の問題は自分に合うサイズがあるとは限らないコト。そもそも日本人に合うサイズ・型が少ない米英の製品の、それも余り物なのだから仕方がない。これが逆にぴったりあったりしたら、気分はもうシンデレラ。その喜びを再び三度と、古靴を求める墓場の老いぼれ幽霊になってしまうというわけだね。しかし余剰品には限りがあるし、どんどん価格は高騰していき、先は明るくない。。。

 

以上にようなことは、古靴を扱うサイト・ブログでよく語られていることだけど、私が思う古靴における問題点はそれ以外のトコロ、外観にあるんだよなあ。

特に茶系のモノなんかは現代的な視点からすると発色がくすんでいるというかのっぺりした色合いのモノが多い。これは劣化等ではなく当時の趣向/需要にあった色付けなんだと思う。(黒革のはもちろん今でも充分通用するけど)

フォルム/デザインも、もっさりというか、抜けが悪いというか、なんというか渋すぎるものが多い。女性や、男性でも若い人ならこういう靴でもお洒落に履きこなせそうだけれど、ホントのおじさんが履くと、じじー値がMAXになってしまうのよ。。。

まあ、そういうことを考慮すると、やはり私は基本的に現代の製品を選んでしまうんだよね。

 

お店で見かける、くすんだ色合いのもっさりしたフォルムの古靴を履いているおじさま方は、みな嬉しそうでもあり誇らしげでもあり幸せそうなので、古靴趣味も素敵だとは思いますが、この世界には距離を置こうと心に誓ったひぃ〜なのであった。

| BOOTS/SHOES | 16:07 | - |